綱渡り

チャップリンの映画「サーカス」を見て、笑いすぎて涙が出たという吉行さん。

 

笑っているうちに、ツライ気持になってきた、という。

 

それは「五十年生きていると、人生を綱渡りしている実感がカラダ(身+區)に這入りこんでいる。そういう状態を七匹の猿が、さらに困難にして、主人公は墜落寸前である」(『石膏色と赤』より)チャップリンと自分を重ねたわけで、しかも、後で知るところによると、チャップリンは最初の妻との離婚でもめていた時期ということであるから・・・吉行さんの「厄介ですな」という声が聞こえそうな一場面ですな。





 爪が薄く弱々しくなってくるのも症状(注:乾癬)の一つで、ときどき爪の先が毀れる。そこで、常時ポケットに鋏を入れておいて、ときには歩道に立止まって、爪を整えることがある。

『日日すれすれ』より