- - - さくら庵 - - -
前回のよれよれ探訪でご紹介した蕎麦屋「さくら庵」。
bun2さんからメールを頂戴し、ここがあの「坂の上の蕎麦屋」であることが判明しました。
そうか、そうだったのか。
すぐにも行かなくては。
というわけで、吉行さんが好きだった鍋やきうどんを食べに、
吉行さんが存在した空間を求めに、「さくら庵」の暖簾をくぐったのです。
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凍えるような夜、急ぎ足でさくら庵へ向かった。
着いたのは20時過ぎ。
すでに看板の電気が消えている。
どうやら閉店準備をいているようだ。
連れがドアを開けて「閉店ですか?」と尋ねると、
「そうですけど、どうぞどうぞ」と笑顔で迎え入れてくださった。
厨房では今からでも作れるメニューを相談してくれているご様子。
「xxはできるよ」「xxxxも大丈夫」
嬉しさでお腹がいっぱいになったような気分になる。
喜びつつ、恐縮しつつテーブルにつき、注文をする。
もちろん、鍋焼きうどん。
いつもは、まず頼まない、鍋焼きうどん。
これです。
海老、ナルト、厚焼き卵、葱、麩、かまぼこ、インゲンが入っている。
連れが頼んだ山菜蕎麦に心惹かれていたのだが、これを見てすっかり上機嫌に。
そうか、これを食べていたんだ、吉行さんは。
歯ごたえのいい、コシのあるうどんと暖かくやさしい味のつゆが
体の余分な力を抜いてくれた。
蕎麦屋=ザルか鴨南蛮、が常の自分だが、鍋焼きうどん、いいですな。
お子様ランチじゃないけれど、なんだか楽しい。
初めて美味しいと思った鍋焼きうどん。
ここで。
お店の方に、吉行さんについての質問を試みてみた。
みなさん、吉行さんをよく覚えてらして、いくつかエピソードを話してくださり、ここでも感激。
吉行さんは、一人、あるいは友人たちとふらりと鍋焼きうどんを食べに来ていたそうだ。
「いつも、あそこの席でしたよ」と店員さん。
ここです。
この席です。
店に入って、一番奥の席。
その頃は体調を崩していたからか、ビールやお酒を飲まず、
鍋焼きうどんだけを食べていたとか。
吉行さんの話だけではなく色々なお話を聞かせていただいて、
もう少しいたかったのだが、閉店時間も過ぎているのでお会計を。
というところで嫌な予感が。
「あの・・・吉行さんが食べていたのは鍋焼きうどんですか?それとも・・・」
という問いに、店員さんが一言。
「鍋焼きうどんの上です」
やっぱり!
「今度は上を食べに来ます」
「上ですね、覚えておきますよ」
次こそ「上」を。
と思いつつ、標的を誤ったのに、なんだか満たされた夜でした。
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後日。
さて、今度のターゲットは鍋焼きうどんの「上」である。
右奥の席に座りたい気もしたけれど、なんとなく恥ずかしくて断念。
小心者ですな。
さっそく「上」を注文してみた。
これです。
カメラを忘れケータイでの撮影。
少し色が変わっています。
「上」になると、かにかま、しいたけ、落とし卵がついてくる。
吉行さんは、この落とし卵が好きだったとか。
卵を掘り起こしてみると・・・
たしかに!
味はもちろん、この埋まっている卵、よかったです。
お店の方の話によると、吉行さんは海老が好きで、天丼もよく食べていたらしい。
今度は天丼を食べに来よう。
あ、また「上」があるのでは?
と思い、お店の方に聞いてみると、やはりありました。
学習能力、残っていました。
並は、海老が二匹。
上になると、海老が二匹に、イカとキスがつくらしい。
びっくり天丼、これは食べたのだろうか?
吉行さんが亡くなった後に店内を少し改装しているとのことなので、
店内もメニューも少しは変わっているのでしょう。
でも、また行きたい。
次は天丼・・・もいいけれど、ざるそばが食べたい。
あの、奥の席で、のんびりと。
いや、なんか敷居が高いですな、やっぱり。
最後になりましたが、さくら庵の皆様、お世話になりました。
あたたかく迎えていただき、美味しいうどんをいただき、感激しました。
また、ふらりとお邪魔します。
今後ともよろしくお願いします。
さくら庵
住所・・・世田谷区上野毛2−7−10
営業時間・・・11:00−20:00
定休日・・・金曜日