猥談・ワイダン

猥談を好んでした吉行さん。
といっても、そこにはちゃんとユーモアやヒンがあってのコトでしょう。

「ワイダンは音楽に似ている」との名言どおり、日本人であればほとんどの人間に通じる、共通の言語といえますね、 無学な私にも通じる言語です。

実際に、結核で入院し、20数人もいる大部屋で過ごしたときには、このワイダンが音楽となって、それまでにあった諍いや トゲトゲしさがなくなったというから、その効果は絶大といえよう。

第三の新人と初めて会った頃も、バーででも、吉行さんはワイダンを好んでしていた模様。

「あの男の口からは、ワイダンしか聞いたことがない」と言わしめた吉行さんであった。

一方、女のワイダンというと、うってかわって否定的な意見に。

 

吉行さんいわく、「必要以上に具体的で、エスプリがなく、 耳をおおって逃げ出すていのものが多かった」(『街角の煙草屋までの旅』)。

逆に言うと、心地いいワイダンができるようになる練習は女性にとってエスプリやユーモアを培ういい勉強になる、 といったところか。

女性の方々、どうですかね?



ワイン

吉行さんがおいしいと言っていたワインは、以下のもの。

シャトー・オ・ブリオン:「さすがにうまい」
シャトー・ディケム:いなりずしを肴に。

対談中に、飲みたいと言っていたのが、モンラッシェ。

自宅にも一本あるというから、好みの味なのだろう。

この項目は、今後も足していくことになります。(=まだ調べきれてません)

スノッブになるのを恐れていた吉行さんがスノッブになったなぁと言って、「スノッブになりたくないという 発言もスノッブ」とツッ込まれていましたっけ。

 

エイミスの『酒について』を翻訳したときから 少々こだわりを見せるようになったそうです。



分かりにくい美人

吉行さんが好きな女のタイプは、「分かりやすい美人」と「分かりにくい美人」といった風にふたつに分けるとすると、どうやら 後者の方だったらしい。

例:木の実ナナ、水森亜土。

少し筋がずれるが、松田聖子や加賀まりこも好みらしい。

この場合は、気性の方を優先しての好みでしょう。



和田誠

1936年(昭和11)4月10日生まれ。
多摩美術大学卒業。在学中に日宣美賞を受賞。

和田さんの絵を見たことのない日本人はいない、といっても過言ではないほど、和田さんのイラストはお馴染みですよね。

吉行さんの似顔絵はもちろん、吉行さんの本の挿絵や装丁もなさった方です。

似顔絵ライターの双璧である山藤章二さんとは対照で、毒のない、ふんわりとした温かいタッチが特徴。

自己主張はきわめて少ないのに、 実のところは、じんわりと言いたいことは言っているイラスト、見れば見るほど何気ないタッチに感服してしまいます。

余談ですが、奥方は料理研究家の平野レミさん。
自称、陰の和田さんと陽のレミさん、という組み合わせで仲のいいご夫婦のようです。



笑い

 私の好きな笑いは、ガルガンチュアの大笑いである。その母胎にあるのは言うまでもなくゴーロワ精神であるが、 現代生活ではなかなかこの笑いにはめぐりあえない。

 次に、私の興味をもっている笑いの母胎は、極限状態に追いつめられた人間から、にわかに飛び出してくるグロテスクな コッケイさである。


『軽薄のすすめ』より



『藁婚式』

1948年、吉行さんが24歳のときの作品。

気に入った題があれば小説が一篇書けるという中井英夫の方法を試してみて書いた短篇で、この題も、中井英夫からもらったもの かもしれない、と吉行さんは言っている。

ちなみに、この方法で書いた作品は、吉行さんが50歳の時点でこの一作だけとか。

ある意味、希少価値がある?